【21】病院側から転院を促され、転院先を選ぶ
殴打事件があって、5ヶ月ほど経過し、わたしの仕事の方が少し落ち着いてきたころ、病院から連絡があって、やはり「転院してほしい」と言われました。
理由は、入院から10ヶ月近くが経ち、いまだ退院できる状態ではないが、当院はどちらかというと急性期の患者さん向けの病院であり長期療養型ではないので、というものでした。
そのとき初めて知りましたが、精神病院には、急性期型と長期療養型の2種類がある、とのこと。
明確に病院のホームページやパンフレットに記載はしていないが、その病院がどちらの型にあたるのか、きっぱり分かれており、精神医療に従事している人たちの間でもあの病院は急性期型だとか長期療養型だとか、はっきりわかっているものなのだそうです。
外の者にはさっぱりわからない”業界”の話です。
そこで、長期療養型でかつ、男女の病棟が別、それほど遠くなく、楽器が弾ける環境のある病院をいくつか候補としてあげてくれ、と頼みました。
男女の病棟が別、という条件を決めた理由は、やはり性的な対象に見られる危険性が少ないほうが良いだろう、ということ。
異性の目によって暴力性が抑制される、というのはどちらかというと男性の話であって、女性の場合は男性ほどには暴力性の問題にとらわれないほうがよいのではないか、と結論づけたのです。
こうしたことは縁とか運とかで決めるもの、という側面もあると思うので、ベストチョイスを望んでいるわけではなく、3個くらいの候補から決めたい、と伝えました。
あまり候補が多いと、選びきれないからです。
そこで、ソーシャルワーカーの方が迅速に3つほど選んでくれました。
それぞれの病院について、母の情報を伝え、受け入れ可能かどうかを問い合わせたうえで、先方のソーシャルワーカーから「OK」をもらったということでした。
あとは、独自に担当のソーシャルワーカーに連絡をとって、見学しにいって決めてください、と言われました。
ホームページを確認してから、1つずつ訪ねました。
病院の雰囲気とか、立地とか、デイサービスの内容などを見て、さらに歯を治したい、と母が言っていたので、病院内に歯科があるところを選びました。
薬物療法だけではなく、箱庭療法などの心理療法も取り入れている点も考慮しました。
できれば今月中に転院を完了していただきたい、などと言われましたので、迅速に行動しました。