【19】病院側の謝罪

数日後、わたしと主治医、ソーシャルワーカー、看護師長、担当看護師が集まって話し合いをしました。

情報共有に問題があってこちらに重要な事件の報告が遅れるということはこれで3回目だと、わたしは指摘しました。

主治医も含めて、謝罪がありましたが、話もそこそこにソーシャルワーカーが「転院希望とお伺いしたので…」と言い出し、「男女別に分かれている病院」のリストを持ち出してきました。

ただ、男女が分かれているからと言って、いいとは限らない。異性の目があるから暴力性が抑制されるという利点もある、ということを主治医が言いました。

とりあえずのところ、男性はすでに鍵のかかる部屋に入ったということ、症状が落ち着いて出てきても大丈夫なように、母を別の病棟に移す、ということで話は落ち着きました。

印象としては、殴打事件のようなものはあまり珍しくなく、精神病院で勤務する人たちはそうした事案に対する感覚が麻痺しているように思いました。

わたしとしては、母が性的対象に見られて夜中に触られたり、殴られたりしたということについて大変ショックを受けましたし、なんとも重苦しい暗澹たる気持ちにもなりました。

病院側の説明や報告の不備等に対する謝罪が不十分なまま、すぐに「転院してくれ」とも言わんばかりの姿勢にも不信感を持ちました。

されど、病院側の当事者たちもなにやら疲れきっているようであり、強く責める気持ちにもならなかったのです。

全体的に、疲労と倦怠感と諦めが漂うような薄暗い会合でした。

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