【13】徐々に悪化して数年が経つ
退院してから数年間、治療をしない状態が続きました。
仕事が多忙であり、また精神医療に対する不信感や諦めもあって、完全に放置していました。
母はまったく外出しなくなり、部屋に閉じこもるようになりました。
夜中に起きてきて、わたしが作ったり買ってきたりした料理をつまむのみです。
一日中、新聞や広告の裏に何やら呪文のような文字を書き続けており、その紙の束で部屋が溢れかえるような感じになっていました。
また、風呂に入らないので、不潔極まりない姿になっていきました。
常に独語、空笑がありましたが、なにやら幻聴との会話を楽しんでいるようであり、機嫌がすこぶる良いので「まあいいか」と思っていました。
なんとかしなければならない、という思いもなくはなかったのですが、「どうにもならない」と諦めていました。
また一大決心をして、移送会社に数十万を払って入院させても治るものではないし、また中途半端な形で早期に退院させられるだけだろう、と。
本人はなにやら毎日楽しそうだし、もういいんじゃないか、と。
買い物や食事の世話は大変だが、閉じこもっている分には害はないし、どううまくやればいいのかわからないが、自分が引き受けるしかない、と思っていました。